Research
光周波数コムの研究

我々の研究室では、高精度な光周波数のものさしといわれる「光周波数コム(通称、光コム)」について研究しています。
光コムとは?
光コムは、時間領域では周期的な超短光パルス列に対応し、周波数領域では等間隔に並んだ多数の鋭い周波数線(モード)となります。このスペクトルの一つ一つが非常に安定した周波数をもつため、まるで光のものさしのように機能します。
この光コムの周波数fnは、以下の2つの独立したパラメータで決まります。
fn = n × frep + fceo
: 整数
(繰り返し周波数): レーザー共振器内で光パルスが往復する時間(往復時間)の逆数で、コムモード間の周波数間隔を決定します。
(キャリア・エンベロープ・オフセット周波数): 光パルス列の搬送波(キャリア)と包絡線(エンベロープ)の位相ずれによって決まる周波数で、コム全体のスペクトルがどこから始まるかを決定します。
これらのパラメータを外部の周波数標準(原子時計など)に同期させることで、光コムの全スペクトル線を絶対周波数に正確に固定することができます。これにより、光コムは広帯域にわたる精密な周波数の物差しとして、さまざまな分野で応用されています。
光コムの応用分野
光コムは、その高い精度と広帯域性から、多岐にわたる研究や技術に利用されています。
精密分光: 広範囲の分子スペクトルを一度に高分解能で測定でき、大気中の微量ガス検知や、医療分野での呼気診断などに応用されます。
周波数標準: 光周波数をマイクロ波領域に変換する役割を果たし、次世代の原子時計の実現に不可欠な要素です。
天文観測: 天体から届く光の周波数を精密に校正することで、地球外生命の兆候を探したり、宇宙の膨張速度を測定したりするのに貢献します。
次世代通信: 多数の異なる周波数の光を同時に利用する**波長分割多重(WDM)**通信において、効率的な光源として期待されています。