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ファイバーレーザー内部の非線形性を活かした
広帯域光周波数コムの直接生成に成功!
レーザーや光通信・分光計測の基盤となる「光周波数コム」(optical frequency comb)は、超精密な光スペクトルを持つレーザー光源であり、分子分光、精密時計、距離計測など多くの先端応用で不可欠なツールです。これまで広帯域で低ノイズなコム光源をつくるには、複雑なシステム設計や外部制御回路が必要とされてきました。
しかし本論文では、レーザー共振器内に意図的に非線形性を導入することで、単純な構成で広帯域コムを「直接生成」する新方式を実証しました。このアプローチにより、システムの複雑さを抑えつつ、用途に応じた高品質な光周波数コムの生成が可能になります。
研究のポイント
? レーザー共振器内で非線形光学効果を活用
一般にコム生成では、外部の非線形光学素子や追加の光学系を必要とすることが多いですが、本研究では共振器内部のファイバー自身を非線形媒体として機能させる構造を採用しました。
? 広いスペクトル幅を実現
実験では、スペクトル幅(full-width at half maximum)が81.1 nm、さらに10 dB ダイナミックレンジで93.0 nm以上の帯域幅を達成。これは、広帯域スペクトルを必要とする多くの応用に対応できるレベルです。
? ノイズ特性を損なわない
非線形化による帯域拡張が行われても、光周波数コムの位相ノイズや周波数ノイズが悪影響を受けない点が重要です。低ノイズ性を維持できたことで、高精度測定や通信への応用可能性が高まりました。
なぜこれが重要?
光周波数コムは、精密分光や光通信、計測科学の基幹技術として、ますます重要性が高まっています。従来は複雑な外部制御をつかってコムを生成することが多かったのに対して、レーザー内部の設計だけで広帯域・低ノイズなコムをつくるというシンプルかつ効果的な方法を示したことは、次世代の光源設計に大きなインパクトを与える可能性があります。
今後の応用展望
この方式は、例えば:
超高速光通信の波長多重化技術
高精度分光センシング
高速距離計測(距離ライダー、LiDAR)
光周波数メトロロジー
など、様々な分野への応用が考えられます。シンプル構成でありながら高性能な光周波数コムを実現できる点が、今後の研究・実用化を後押しすると期待されています。